蚕を食べる (4)

〜 蚕の蛾を食べる 〜

蛾になると、蛹皮を脱ぎ捨てて蛾尿(蛹期に溜まる老廃物)を体外に排出するので、蛾の体重は蛹(さなぎ)の時期に比べて軽くなります。蛾は蛹に比べて体重が減るだけでなく、蛾の体表を覆う鱗片や翅など食べても美味しくない部分が増えるので、蛾で食べるよりも蛹で食べる方が食料としては効率的です。農務省の農事試験場が発行した大正時代の調査報告書『食用及薬用昆虫ニ関スル調査』(三宅恒方 著「特別報告31号」)によると、蚕の成虫(蛾)を食べるのは長野県、埼玉県と岐阜県の一部だけのようです。調理方法は、雄蛾、産卵後の雌蛾をよく洗い、蛾の表面を覆う鱗粉を洗い流す。水気をよく切り、フライパンで乾煎りして羽を焼き飛ばす。醤油と味醂、砂糖で味付けし、甘露煮にする。蛾の甘露煮は、その風味は蛹と似ているが、蛹に比べて独特の臭みが少なく蛹より「海老風味」、「小魚の煮物感」が増しており、食べ易いといいます。産卵後の雌蛾の体内には、産み残した若干の卵や未発達卵があり、その食感は雄蛾よりも良いとのことです。養蚕農家が激減して蚕種の生産量も減ったので、近頃では蛾を入手するのも難しくなっています。蚕蛹の甘露煮の愛好者か多い地域でも、蚕蛾を食べる話を聞いて、驚いたり、気持ち悪がったりする場合があると聞きますから、食文化の違いには複雑なものがあるようです。

蚕は成虫(蛾)になると、全く飲み食いしないなので、成虫期間は短く、数日で命尽きます。蝶々のように花の蜜を吸ったりしません。その短い命の中で、蚕の雄蛾は飛ぶ能力が無いので、雌蛾の許に必死に歩み寄り、次世代の受精卵を作るために交尾します。交尾中の普通の虫たちの蛾の場合は、人の気配を感じると、交尾をやめ逃げるように飛び去ります。ところが蚕の場合にはそれらとは違い、雌蛾と雄蛾はとても仲が良く、人の気配を感じても、交尾し続けます。交尾中の雌雄の蛾を人が指で突ついても、交尾中の雌雄の蛾を摘まみ上げても交尾をやめることはありません。万が一、雌雄の交尾器の接合が外れてしまっても、すぐに再交尾します。交尾中の蛾は、半日くらいで勝手に離れることもありますが、情熱的に1日以上交尾し続けることもあります。時には、数日間交尾したまま寿命が尽きることもあります。交尾したままだと雌蛾が産卵できません。雌蛾に産卵させるためには、人が手伝って交尾中の雌雄の蛾を引き離してやります。養蚕用語では、この引き離すこと、交尾を終了させることを「割愛(かつあい)する」と言います。日常会話で使う「省略する」の意ではなく、文字通り「愛を割く」の意です。

交尾中の蚕蛾 <写真は駒ヶ根シルクミュージアムの展示模型>
産卵中の雌蚕蛾 <写真は駒ヶ根シルクミュージアムの展示模型>

長時間情熱的に交尾し続ける蚕の雄蛾には、男性の性的能力を高める精力効果があると、古来中国の医学書「中国医書」や朝鮮王朝時代の医学書「東医宝鑑」に記載されているそうです。精力増強作用が期待できるとして、雄蛾を乾燥させた漢方薬「原蚕蛾」(げんさんが)や、雄蛾でつくった酒「仙蛾酒」(せんがしゅ)も販売されたそうです。バイアグラなどの精力剤が無かったいにしえの男性にとって、蚕の雄蛾にある成分は羨望の的だったようです。中国や韓国では、蚕蛾を食料として食べるのではなく、精力効果のある薬として愛用したようです。

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