昆虫食に関する本
こんにちは、清田彩です。
このブログでは、私が今までに読んだ本の中から「昆虫食に関する本」の感想を綴っていきます。
昆虫食について本を読んで知りたい!と思っている方のご参考になれば幸いです。
今回感想をお伝えする本のタイトルは『昆虫にとってコンビニとは何か?』(高橋敬一、朝日新聞出版/2006年)です。

著者が28項目の問いかけ「昆虫にとって〇〇とは何か?」を発して、自ら答えていきます。昆虫にとって、車とは何か?昆虫マニアとは何か?戦争とは何か?人間の性欲とは何か?気になる問いかけが並びます。
その中のひとつが「昆虫にとってイナゴの佃煮とは何か?」です。
イナゴの佃煮をはじめ、ハチの子、ザザムシ、そのほか外国でも多様な昆虫が食べられています。それによって昆虫は減っているのでしょうか?
「昆虫食は、昆虫種にとっても、地域個体群にとっても、ほとんど何の意味も持ってはいないといっていい。」
著者はこのように答えを出しました。
ザザムシの採集規制という例外は示しつつも、昆虫食では個体数の多い種が食べられる傾向にあることや、養殖の研究が行われていることなどを理由に挙げています。実際、人によって食べ尽くされたという話は聞いた事がないそうです。
私が思う存分食べても大丈夫そうなので安心しました。
もしかしたら、家畜化されてニワトリが増えたように、食用昆虫の養殖によってコオロギばかり増えていく、ということもあるかもしれませんね。
「昆虫にとってコンビニとは何か?」という目を引く問いは、本のタイトルにもなっています。
夜のコンビニの明るさは、買い物客だけでなく夜行性昆虫を引き寄せます。
そして、昆虫マニアも。
「山間部にコンビニを見つけると反射的に車を滑り込ませる」
「できるだけ普通の客を装って車を降りる」
「目はすでにコンビニの明かり周辺をさまよっている」
「運転の疲れを癒すかのように肩をまわしてみたり」
「指先でポケットの毒ビンをそっと確かめる」
サスペンス劇場を思わせる描写で昆虫マニアの動きが書かれていました。こわいです。
昆虫にとっては、昆虫マニアに採集されるよりも、コンビニの電撃殺虫器に焼かれるよりも、そこへ向かって来るまでに遭遇する車のほうがこわい存在です。
衝突したり、タイヤで踏みつぶされたり、車に殺される数のほうがはるかに多いのだそうです。
それでも種の存続を左右するほどではありません。
人間がイナゴの佃煮を食べても絶滅していません。
昆虫に大きな影響を与えるのは、人間がより快適に暮らすために環境を改変することだそうです。
「きれいに整備された日本の公園のなかを流れる澄んだ川に、いかなる昆虫も生息していないことを知るとき、私はいつも愕然とする。」
人間の日常活動は昆虫にとって大量殺戮であり、その日常活動を抑制する戦争とは、昆虫にとって束の間の平和といえるのかもしれない、と著者は答えています。
昆虫への問いかけは、人間に対する問いかけでもあるのです。