虫を食べて暮らす 7

昆虫食に追いついた聖書

「変わらない言葉を 変わりゆく世界に 31年ぶり、0(ゼロ)から翻訳」と帯文にある。

聖書協会共同訳『聖書』の新訳が昨年12月に発行された。

この改訳は昆虫食にとって画期的な事件といえる。「いなご」が「ばった」に変わったのである。

聖書協会共同訳『聖書』の表紙

『聖書』は欧米の食文化に与える影響は大きい。『聖書』から昆虫食を探すと「いなご」が出てくる。変だ。イスラエルにいなごなどいない。そこで拙著『昆虫食入門』(平凡社新書、2012年4月)では「ここで訳されている「いなご」はトノサマバッタかサバクバッタのような大型バッタのことで、ときに大発生して農作物を食い尽くす飛蝗(ひこう)として知られている。」(22頁)と断っている。さらに『昆虫は美味い!』(新潮新書、2019年1月)でも、「聖書で訳されている「いなご」は、飛蝗と呼ばれる大型バッタのことである。日本には分布していないサバクトビバッタを指し、体長40~60mmの大型バッタである。」(67~68頁)と誤訳を訂正している。

昨年末に出た改訂版では「いなご」が「ばった」にすっかり〈種変異〉している。旧約の『レビ記』11章では食物の規定が書かれている。これまでは「いなごの類、羽ながいなごの類、大いなごの類、小いなごの類は食べてよい」とあった箇所が「ばったの類、羽ながばったの類、大ばったの類、小ばったの類は食べることができる」とすっかり変身している。

『出エジプト記』では、群生相に相変異したバッタが飛蝗となって農作物を食い尽くす恐ろしい場面が描かれている。10章の見出しに「ばったの災い」とある。まさに蝗害のことである。「ばったはエジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。……地は暗くなり、地のすべての草、雹を免れたすべての木の実を食い尽くした。エジプト全土には木も野の草も、緑のものは一つも残らなかった」なんと恐ろしい光景だろうか。ではこの「ばった」を「いなご」に置き換えて読んでみたらどうか。可愛いイナゴの顔が浮かび、リアリティがすっかりなくなってしまう。

蝗害を記述した「出エジプト記」の一節

新訳の『ヨハネの黙示録』でも「ばった」が悪魔に仕える天使の家来として登場する。これは蝗害が神格化されたものなので、これが「いなご」だとやはり迫力不足である。

やはり新訳の『マタイによる福音書』の3章で、洗礼者ヨハネは「らくだの毛衣を着、腰に皮の帯を締め、ばったと野蜜を食べ物としていた」。昨年末までヨハネは荒野で生息するはずもない「いなご」を食べていたことになっていたのだ。

そもそも「蝗」は漢語では群生相のバッタを意味する。飛蝗現象が日本にないので「いなご」と訓読され、それがそのまま聖書でも踏襲されたのではないか。イナゴは食べてもバッタを食べる習慣がないから、ヨハネがイナゴを食べることを疑わなかったのだろう。

ともあれ今回の改訂は昆虫食の普及を願う我々の長年の夢であり、ようやく「昆虫食に聖書が追いついた事件」と言えば言い過ぎだろうか。

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この度は 昆虫食通販 Bugs Farm(バグズファーム)をご覧いただきありがとうございます。

昆虫食は 罰ゲーム用、2次会の景品、ユニークなプレゼントとしてはもちろん,
・将来の食料源として国連の専門機関 国際連合食料農業機関(FAO)の昆虫食に関するレポートをみて興味が湧いた。
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・面白い栄養成分が無いか研究したい。
・化粧品原料として研究したい。
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などなど、、、 まだまだ、始まったばかりのニッチな分野です。

将来昆虫食が食料の主流になることは無いと思いますが、数多くの選択肢の中の一つとなる時代が来れば嬉しいです。
 
バグズファーム 店主

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