蚕を食べる (8)

〜 蚕は元々、食用の虫だった? 〜

日本では、糸繰り後の蛹(さなぎ)を副産物利用として甘露煮などにすることが多いので、蚕は食用昆虫ではなく、昔から絹糸を作るために存在した虫と思われています。

本当に蚕は初めから糸を取る虫だったのでしょうか。元々は食用昆虫だったのではないでしょうか。中国山西省夏県西陰村の新石器時代(紀元前三千年頃)の遺跡から「刃物で半分にカットされた蚕の繭(長さ15.2mm, 幅7.5mm)」の化石が発見されたことは、絹糸作りとは関係なく、蚕の蛹が古くから食べられていたことを物語るものであろうと考えられます。

糸をとる養蚕は古代中国で発明されましたが、その中国の神話に養蚕の発祥を伝える『嫘祖(るいそ)伝説』があります。その神話によれば、黄帝(紀元前三千年頃。新石器時代の終わり頃の帝)の妃である嫘祖(るいそ)が養蚕の始祖だそうで、次のような話です。

「嫘祖の女官が山中の桑の木に小さな実が一杯ついているのを見つけ、その実を嫘祖に食べさせてあげようとかじったが、実の周りは細い糸で硬く覆われていて噛み切れなかった。唾液で濡れた糸の塊をほぐすと、中から「蛹」が現れた。実と間違えたものは、虫が細い糸で作った硬い繭だった。ほぐれた繭糸の強度と光沢に驚いた嫘祖の閃きで、糸を取るために、この虫(蚕)を飼う養蚕が始まった。」

この養蚕の発祥伝説は、食料にしようとした虫がたまたま丈夫な糸で繭を作っていたので、繭からの糸取りを思い付いたことを物語るものと考えられます。蚕の蛹は、敵に襲われても、脚がなく、歩いて逃げることができません。繭は、蛹を護るシェルター(避難壕)として蚕幼虫が作るものです。蛹を食べようとする人間にとっては、繭は邪魔なシェルターです。人間はやがて、この丈夫なシェルターである繭をほぐして絹糸にすることを思い付いたに違いありません。日本でも、「日本書紀」(720年)に天照大神が蚕の繭を口に含んで糸を取り出す場面が描かれていて、天照大神も養蚕の神様とされています。

中国では、糸取り後の副産物蛹ではなく、蚕の繭をカットして取り出された生きた新鮮な蛹を料理に使います。蚕の蛹期間は10~14日と短いですが、桑葉さえあれば蚕は時期をずらしていつでも飼育できますので、料理用の蛹として提供することが可能です。

中国では、桑を食べる蚕とは別の昆虫種ですが、中国原産の「柞蚕(サクサン)」という野生の蚕の繭からも糸を取ります。しかし糸取りとは関係なく、この柞蚕の繭をカットして取り出した生の蛹(柞蚕蛹)も料理に使います。柞蚕は、クヌギ(櫟)、カシワ(柏)、コナラ(小楢)、栗などの葉を食べ、桑の葉は食べません。柞蚕蛹のサイズは、桑を食べる蚕蛹の三倍ほどの大きさです。柞蚕は年二回発生して、蛹で冬を越します。蛹期間が長いので、柞蚕蛹を食材として長期間に渡って蛹料理に提供できるというメリットがあった様です。中国の市場では丸々太った生きた柞蚕蛹が籠に山盛りに沢山入れられ、モゴモゴと蠢いているのを見かけます。この生きた柞蚕蛹は量り売りされます。中国では、食料にするための柞蚕蛹の飼育量が増えているそうです。柞蚕蛹は冷凍商品として通信販売されているので、日本でも購入できます。

市販されている柞蚕蛹の冷凍食品。

 今から5千年程前に養蚕を始めた中国では、蚕を食べる文化があります。桑を食べる蚕は、元々、食用昆虫だったのではないでしょうか

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