昆虫食に関する本
昆虫食について本を読んで知りたい!と思っている方のご参考になれば幸いです。
こんにちは、清田彩です。私が今までに読んだ本の中から「昆虫食に関する本」の感想を綴っていきます。
今回感想をお伝えする本のタイトルは『昆虫を食べる!』(水野壮 監修、洋泉社/2016年)です。

昆虫食に限ったことではないのですが、同じテーマの本を何冊か読んでいると、この内容は読んだことがあるなぁと感じる部分が増えてきます。その点、この本は昆虫食の基礎的な情報と同じくらいのボリュームで独自の情報も書かれているので、昆虫食の今が分かる本だと思います。
昆虫食の歴史、未来の可能性、栄養学、そして昆虫料理のレシピが写真と共に紹介されています。さらに総勢7名のコラムが掲載されているので、様々な角度から昆虫食について知ることが出来ます。
この本の監修者達は、2011年から2015年までの5年間にわたり東京都内で約900名にアンケート調査を行っていたそうです。
そこからは現代人の意識の変化や多様性が示されています。
食べた経験の有無、食べたことのある昆虫、食べる動機、料理で昆虫の形を残すことについてどう思うか。
このような内容で、日本最大級の科学イベント「サイエンスアゴラ」でポスター展示などとともに試食ブースを設けて、訪れた参加者に毎年アンケートをとり続けたそうです。
「これだけ長期にわたり、かつ大規模な人数を対象にした昆虫食の調査は、戦後初の試みである」と書かれている通り、ほかの本では読むことができない貴重な情報だと思います。
5年間のアンケート調査からは、参加者が昆虫を食べる理由に変化がみられます。
2015年には「メディアで目にした」「食糧危機に備えて」という回答が増加したそうです。昆虫食を推奨する内容のFAO報告書が2013年に発表された影響で、メディアによる昆虫食の報道が盛んになってきたからだと考えられています。
逆に、「話のネタになりそう」「新しい味に挑戦したい」といった回答は年々減少傾向だそうです。
私も昆虫食に関わるようになってから、メディアの取り上げ方の変化や、世間からのゲテモノ的イメージが和らいできたことを実感しています。
昆虫はどんな味がするのか、例えるならどんな食べ物に近いのか、「ハチの子はウナギに似ている」なんて話は聞いた事があるかもしれませんね。
この本では、昆虫の味を味覚センサーで数値化して、昆虫以外の食べ物と比較しています。
味覚センサーというのは、塩味、甘味、苦味などの味覚を数値化できる装置です。装置を用いることで、昆虫の味が客観的に評価されています。
ハチの子とウナギ、セミとナッツなど、味が似ていると思われていた食べ物と比べてみると、実際に数値が近いことが分かったそうです。
余談ですが、「味が似ているならわざわざハチの子を食べないでウナギを食べればいいじゃないか」と言われることが度々あります。
違うんです…。何かの代わりに昆虫を食べているわけじゃないんです…。
あれこれ説明しても相手にうまく伝わらず、いつももどかしく感じています。