虫を食べて暮らす19

そもそもバッタとはなにか

「バッタもん」という言葉がある。戦後バッタのように移動して倒産品などを扱う店を「バッタ屋」と言い、そうした非正規商品のことを「バッタもん」と呼んだ。バッタにとってはマイナスイメージで迷惑な話であるが、あちこち動き回るという意味では正しい用法ではある。

バッタの語源は飛ぶときの「ハタハタ」という羽音とされる。ショウリョウバッタのオスは前翅と後翅を打ち合わせて音を出す。キチキチバッタとも呼ばれる。「羽の声を名とす」と語源を多く収録する『大言海』に出てくる。俳句の季語に「蹊蚸」があり、ハタハタと読む。「ハタの中に促音を入れ、語頭を濁音化して、バッタとして虫名に仕立てたのである。」と『語源事典 動物編』(吉田金彦編著、東京堂出版)にある。

日本に生息するバッタ目は500種あまりで、バッタ類、コオロギ類、キリギリス類に大別される。そのうちのバッタ類は後ろ脚が太くて長いのが特徴だ。特に腿(腿節:たいせつ)は筋肉が詰まっていてジャンプ力がすごい。仮面ライダーの得意技がライダージャンプなのも頷ける。食べる際には腿節もしっかり味わいたい。ただし脛(脛節:けいせつ)は棘があるので良く噛まないと喉に刺さって危険だ。聖書もレビ記の食物規定で「地を跳ねるための足のあるものは食べることができる」とあり、バッタは晴れて食べて良い生き物の範疇に入っている。

聖書が昆虫全般を汚れているとしているなかで、バッタだけを特別扱いする理由はなにか。想像するにそれは蝗害にあるのではないだろうか。アフリカなどで相変異し群生化し長距離移動して作物を食い尽くすサバクトビバッタ(トノサマバッタの仲間)は英語でLocustという。語源はラテン語の「焼野原」の意味とされ、漢字では虫の皇帝の「蝗」と表記される。

本ブログ「虫を食べて暮らす5」で同類のトノサマバッタの卵を食べている。噛むとブチンと弾ける音が聞こえるほど外皮は硬いが、「卵黄に似た、だがもっと淡い甘みを舌先に感じる。ナッツと草のような香りが微かに鼻腔を抜ける。」と食レポしている。アフリカではサバクトビバッタの卵のことを「時限爆弾」というらしい。向こうでは卵の味見などと悠長なことは言っていられない。

ヘブライ人は翅の模様はヘブライ語で「神の罰」と書かれていると伝えている。イスラエルの人々を率いてモーセがエジプトを出ようとするのを拒むファラオに対して神は言う。「私は明日、あなたの領土にばったを送り込む。ばったが地の面を覆い、地面を見ることができなくなる。そしてそれは、雹を免れて残されていたものを食い尽くし、野に生えているあなたがたの木をすべて食い尽くす」。

聖書ではこれまでバッタを「いなご」と表記してきた。そのため佃煮になるあの小さなイナゴが海外では大発生して農作物に甚大な被害を与えるのか、と日本人は驚きとともに大いなる誤解をしてきた。それが今度出た新訳でようやく「ばった」と表記されるようになった。聖書を引用することの多い私にとっては、その都度説明しなければならない煩わしさから解放されて慶賀に堪えない。

ちなみに相変異しないバッタ類はGrasshopperと呼び、イナゴ、オンブバッタ、ショウリョウバッタなど身近なバッタが含まれる。

参考文献

大槻文彦『大言海』冨山房、1956年

吉田金彦編著『語源事典 動物編』東京堂出版、2001年

槐真史篇、伊丹市昆虫館監修『日本の昆虫1400①チョウ・バッタ・セミ』文一総合出版、2013年

前野ウルド浩太郎『孤独なバッタが群れるとき』東海大学出版会、2012年 聖書協会共同訳『聖書』日本聖書協会、2018年

>昆虫食通販 バグズファーム

昆虫食通販 バグズファーム

この度は 昆虫食通販 Bugs Farm(バグズファーム)をご覧いただきありがとうございます。

昆虫食は 罰ゲーム用、2次会の景品、ユニークなプレゼントとしてはもちろん,
・将来の食料源として国連の専門機関 国際連合食料農業機関(FAO)の昆虫食に関するレポートをみて興味が湧いた。
・単純に食としての虫に興味がある。
・SNS拡散力があるメニューを開発したい。
・面白い栄養成分が無いか研究したい。
・化粧品原料として研究したい。
・薬の原料として研究したい。
などなど、、、 まだまだ、始まったばかりのニッチな分野です。

将来昆虫食が食料の主流になることは無いと思いますが、数多くの選択肢の中の一つとなる時代が来れば嬉しいです。
 
バグズファーム 店主

CTR IMG