虫を食べて暮らす22

人間も相変異する?!

~バッタの大発生と新型コロナウイルスの蔓延~

2018年に二つのサイクロンがアラビア半島を襲い、翌19年には今度はアフリカ東北部のケニア、ソマリア地域にサイクロンが大雨を降らせた。そのためバッタの孵化率が著しく向上し、加えて餌となる植物が繁茂したため、70年に一度という甚大な被害をもたらしている。バッタの大群はいまではインドやパキスタン、そして中国にまで迫っている。

私は飛蝗のニュースを見聞きするたびに、短編『蝗』を思い出す。

一兵卒として中国戦線に従軍した田村泰次郎のこの短編は、戦争体験から生まれた作品集『肉体の悪魔・失われた男』に収められている。

軍装の田村泰次郎 昭和15年(講談社文芸文庫より)

主人公の原田軍曹は戦死者を納める白木の空箱と5名の従軍慰安婦を前線に送り届ける任務を負っていた。空箱と慰安婦を載せた列車は兵団司令部を目指して走る。その途中で移動する蝗(本来はサバクトビバッタだが原文に従って蝗と表記)の大集団に遭遇する。

「蝗は蝗たちの、人間にはわからない意志によって移動するのかも知れないが、兵隊は兵隊たちで、彼らの意志でない命令によって移動する」と作者は戦争下における人間の行動を飛蝗になぞらえる。

つまり人間も戦争下では孤独相から群生相に相変異するということか。「兵隊たちが、つぎつぎと休む間もなく、五名の女たちの肉体に襲いかかった。(……)飢え、渇いた、角のない昆虫のように、彼らは砂地の上に二本の白い太腿をあけっぴろげにした女体の中心部へ蝟集した」。チョウセン・ピーと呼ばれた慰安婦たちは、性欲に飢えた兵士たちの肉体の襲撃を受けなければならなかった。狂暴化した蝗の集団がわずかに残った青草を貪り喰うように……。

日本では同類のトノサマバッタが飛蝗化した例はほんの数件に止まっている。そのためトノサマバッタに凶悪なイメージはなく、むしろ子供たちにも人気のある昆虫と言っていい。仮面ライダーのモチーフとなったのがその好例といえる。ただ世界征服を企てるショッカーによってトノサマバッタが選ばれたことを思うと、相変異し悪の象徴に変わる能力が備わっていると捉えるのは、いささか深読みに過ぎるだろうか。

 温暖化による異常気象がバッタの大発生を促したように、世界の人口爆発が新型コロナウイルスの蔓延を招いたと言っても過言ではない。群生相は特に人口が濃密な都市部で生じやすい。いまや日本ではバッタがコロナウイルスに身を変えて蔓延し、自粛警察と称される相互監視社会が到来しようとしている。いま私たちがそうした流れに竿さして孤独相であり続けるためには、コロナと共に生きる方途を探ることでしかない。そのためには自らの内面に眼差しを向け、個としての自己を再構築することで、押し寄せる群生相の誘惑から逃れる術を鍛えることではないだろうか。

参考文献

田村泰次郎『肉体の悪魔・失われた男』講談社文芸文庫、2006年

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