虫を食べて暮らす23

イエバエはすごい!

マゴットと聞くと何を連想するだろうか。多くの人がセラピーという単語を思い浮かべるかもしれない。マゴットセラピーとはマゴットつまりハエの幼虫を使った糖尿病による足の壊疽などの治療法のことで、これにより足を切断することなく治癒する確率が高いのである。幼虫は正常な組織を損傷することなく、壊死した組織だけを溶かして吸い取り、抗菌物質を分泌して殺菌もしてくれるのである。

 このように医療用として知られているハエだが、糞便なども摂食するため感染症を媒介する衛生害虫とされ不衛生なイメージが拭えない。だがそうした食性を利用して環境汚染の低減と飼料活用をめざす試みが株式会社MUSCAのイエバエ養殖である。社名のMUSCAはイエバエの英語名Musca domesticaから採っている。宇宙での排泄物処理と食料への転換を目指したロシアの研究技術を応用した技術であり、50年1200世代という長年の改良を重ねることで作出された高機能なサラブレットイエバエが用いられている。

 トレイに置かれた糞尿や食品加工残渣に、イエバエ卵をのせるとすぐに孵化して成長し、ほぼ1週間で蛹化のためトレイから這い出して自動的に分離される。幼虫は魚の飼料として、耐病性に優れ、誘引効果があり、大きく育つ効果が立証されている。また排泄物は優れた有機肥料となる。

 イエバエは生産効率に優れている。たとえば年間飼育によるタンパク質重量比でみると、カイコ1とした場合、イエバエはなんと3.9×1041にもなる。生産効率からだけ考えるとロシアで宇宙食として研究されていたのも頷ける。栄養的にも優れており、鶏卵と同等のタンパク質を含んでいる。特筆すべきはビタミンB群の多さである。例えば乾燥重量100g中に含まれるビタミンB群の内訳は、チアミン11.3mg(0.056 mg)、リボフラビン77.2 (0.232 )、ナイアシン90.5(4.21)、パントテン酸45.3(0)である。( )内は牛肉の含有量であり、これと比較するとイエバエのビタミンB群がいかに多いかが分かる。ミネラルも豊富で他の食用昆虫と比べて特にリン、亜鉛、クロムが多い。

 こうして優良な飼料としての道は開かれつつあるとはいえ、不衛生なイメージがあまりにも強く、食料としてはハードルが高いと言わざるをえない。田舎で育った筆者も食卓の真上に下がったハエ取りリボンにびっしり貼りついたハエを思い浮かべると食欲がわかない。唯一ハエを使った料理にカース・マルツゥ(casu marzu)がある。イタリアサルデーニャ地方のチーズの一種で、チーズバエが入った発酵食品である。とはいえ昆虫食に関わるようになってハエも無視できない食材に思えてきた。とはいえ食用としてのハエは存在せず、自分で育てる手立てもなく、試食の機会がないままに今日に至っていた。

 そうしたなか食用としてイエバエを考えている株式会社フライハイからサンプルをいただいた。ボイルして冷凍した幼虫、乾燥した幼虫やサナギなどである。この企業はMUSCAと同じくイエバエ養殖による家畜の糞便処理事業を行ってきたが、昆虫食への注目が高まるなか、飼料や肥料だけでなく、食品開発にも目を向けるようになり、そこで「おから」との幸運な出会いがあった。産業廃棄物の側面もあるおからだけを餌として累代飼育が可能となった。衛生的で安全な食用ハエの誕生である。以前からハエを試食してみたいと思っていた筆者にとっては渡りに船だった。二品ほどメニューを紹介したい。

「ちりめんまごっと~ちりめんじゃこ風マゴットの佃煮~」:ボイルして冷凍した幼虫を使用。日本の昆虫食の定番といえる佃煮にしてみた。ちりめんじゃこに見た目も食感もそっくり。豆腐にのせると食感の違いが楽しめる。おにぎりにのせても混ぜご飯にしても美味しくいただける。

「ままごとにぎり~マゴットならぬママゴト遊びのようなおにぎり~」:乾燥した幼虫とサナギを使用。フライパンを熱し軽く炒って塩コショウ。「ふりかけ」として広く使えて重宝する。幼虫はわずかにエビ風味。蛹はほぼ無味無臭でサクッとした殻の食感が楽しめる。

参考文献

大塚沙緒里、青沼宏佳、嘉糠洋陸「医療用ウジ虫によるマゴットセラピーの過去・現在・未来」『大阪保険医雑誌』、第606号、2017年3月、31-35頁。

「MUSCA」https://musca.info/

「株式会社フライハイ」https://flyhigh64.tech/

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昆虫食通販 バグズファーム

この度は 昆虫食通販 Bugs Farm(バグズファーム)をご覧いただきありがとうございます。

昆虫食は 罰ゲーム用、2次会の景品、ユニークなプレゼントとしてはもちろん,
・将来の食料源として国連の専門機関 国際連合食料農業機関(FAO)の昆虫食に関するレポートをみて興味が湧いた。
・単純に食としての虫に興味がある。
・SNS拡散力があるメニューを開発したい。
・面白い栄養成分が無いか研究したい。
・化粧品原料として研究したい。
・薬の原料として研究したい。
などなど、、、 まだまだ、始まったばかりのニッチな分野です。

将来昆虫食が食料の主流になることは無いと思いますが、数多くの選択肢の中の一つとなる時代が来れば嬉しいです。
 
バグズファーム 店主

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