虫を食べて暮らす24

抗しがたい饗宴の魅力

昨年来新型コロナウイルス感染症/COVID-19が世界を席巻している。当初はこれほどまでに蔓延し、さらに感染力の強い変異ウイルスが次々と現れるとは想像もできなかった。日本でも再三感染の高波に襲われており、緊急事態宣言が数度にわたって発令されている。国は対策として「飲食対策の徹底」「人流の抑制」「クラスター発生が増加している感染源対策」「医療提供体制」「宣言区域との往来自粛の徹底」などに取り組むとしている。つまるところウイルス感染を終息させる唯一無二の対策は明らかである。「人間同士が交わらないこと」に尽きる。だがこれほど徹底の困難な対策はない。

 卑近の例を挙げてみよう。私の住む東京都下のH市でも感染者は日に日に増加している。そんななかある晴れた日に通りかかった河原を見下ろすと、大小十グループを超える集団がバーベキューを楽しんでいた。その多くが若者であり、もちろんマスクはしていない。遊歩道に『緊急事態宣言が発令されています。河川敷でのバーベキューなど飲食はご遠慮ください』という看板が目に入る。若年層に感染への恐怖が薄らいできていて、このところ若者の感染者が急増している。

「人間同士が交わらないこと」の困難さはどこに起因するかを探るため、人類の起源に遡って考えてみよう。当時地球上に生息する他の肉食動物に比べ、人類は肉体的になんと弱弱しい存在だったことか。そんな人類が繁栄できたのは「二足歩行」「道具と火の使用」であり、「群れをつくり、獲物を分かち合う」ことだった。協力して狩りをし、食べ物を分け合うことで、社会性が育まれていった。その手段として言語の誕生は必然だった。言語によるコミュニケーションは肉食獣の牙より遥かに強力で生存に有利な武器であり、そのため集団で生きることは人類の生存にとって不可欠な本能として脳裏に刻み込まれていったのである。新型コロナウイルスは狡猾にもそうした人類の本能を巧みに利用して感染を拡大している。そのため人々は攪乱され、絆が引き剥がされ、自閉を強要されることで、かつてない破滅を世界にもたらしている。たとえばインドでは無数の火葬の炎が地平を覆い尽くす炎熱地獄を呈している。

久々に「旅の学校」(エス・ティー・ワールド)で昆虫食の講演

「会食」の喜びは若者に固有の感情ではない。それは獲物を分け合う本能がもたらす快楽なのだから世代を超えて共通の感情なのだ。理性では抗しがたい誘惑の所以がそこにある。コロナ対策に携わる官僚が「会食」の誘惑に負けるのもむべなるかなである。

 私もその感情は納得できる。先日本当に久しぶりに参加者が10名以上の昆虫食イベントが実現した。緊急事態宣言下で実施が危ぶまれたのだが、最大限の感染対策を行うことで実施することになった。会場へ向かう私の心は弾んでいた。思いを共有できる機会が長きに渡って奪われていたのだから。昆虫食について対面で語りかけることのなんと愉快なことか。マスク越しであるものの、頷く顔、笑う顔がすぐそこにあり、思いを共有出来ていることが実感できる。喜びが心の深みから湧き上がってくる。抗しがたい饗宴の魅力がそこにはあった。

 ではその魅力はどこからきているのだろうか。それを探るためさらに人類の系譜を遡ってみたい。わずか数センチのネズミだった我々の祖先は、恐竜に追われて2億年前のジュラ紀に夜の世界に進出した。彼らは闇のなかで主に高周波を発する昆虫を狩って命を繋いできた。闇の世界は食料の確保が難しく、群れを作ることは少ない食料を奪い合うことになる。恐竜が絶滅するまで中生代の1億5000万年以上もの長きに渡り、我々の祖先は孤独な暮らしを続けることで、かろうじて種を繋ぐことができたのである。それに比べて人類の歴史700万年のなんと短いことか。我々は明日の糧が約束された群れの暮らしよりも遥か長きにわたり、先を見通せない孤独な夜々を送ってきたことになる。我々の記憶の底に夜行性だった不安と恐れの記憶が眠っているのではなかろうか。  

「ハーバード白熱教室」で知られるマイケル・サンデルは、『コロナ禍のいまをどう生きるのか』のインタビューのなかで、コロナ禍はレントゲンのようなもので、社会の不平等を鮮明に炙り出すと語っている。私はそれに加えてコロナ禍という名のX線は中生代の漆黒の闇に暮らす人々の孤独を乾板に焼き付けているのではないかと思う。私たちはそうした原初体験をコロナ禍が網膜に投影してくれたことにより、他者の存在のかけがえのなさに思いを馳せることができる。私は日々昆虫を噛みしめながら、人類進化の最深部に降り立つことで、人びとが抱く抗しがたい饗宴への誘惑の起源に思いを致す日々を過ごしている。私たちは明日にも輪になって踊りたいのだ。

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昆虫食通販 バグズファーム

この度は 昆虫食通販 Bugs Farm(バグズファーム)をご覧いただきありがとうございます。

昆虫食は 罰ゲーム用、2次会の景品、ユニークなプレゼントとしてはもちろん,
・将来の食料源として国連の専門機関 国際連合食料農業機関(FAO)の昆虫食に関するレポートをみて興味が湧いた。
・単純に食としての虫に興味がある。
・SNS拡散力があるメニューを開発したい。
・面白い栄養成分が無いか研究したい。
・化粧品原料として研究したい。
・薬の原料として研究したい。
などなど、、、 まだまだ、始まったばかりのニッチな分野です。

将来昆虫食が食料の主流になることは無いと思いますが、数多くの選択肢の中の一つとなる時代が来れば嬉しいです。
 
バグズファーム 店主

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